うちの会社にはとても優秀なSE(システムエンジニア)がいる。

 

50代の独身女性で、マスキングテープ集めが好きな可愛らしい人だ。パソコンのことで分からないことがあれば、彼女に聞けば一発解決。とても頼りになる人で、私も日ごろから分からない部分を教えてもらっている。

彼女はうちの社長が直接他社から引き抜いてきた人材で、プログラマーとコーダーの仕事をこなし、うちの会社のPCやその機器周辺の管理を行い、店長職までも兼務しているすごい人だ。

 

しかし、そんな彼女にも弱点があった。

 

ペーパードライバーであることだ。

数十年前に免許を取っているものの、それから車の運転をほとんどせず生きてきた模様。

しかし、私の地域では、車がないと、ほんとに不便で、それは彼女も例外ではない。でも彼女はそんなこと問題ではないようで、毎日の通勤を片道40分かけて自転車で通ってくるし、雨の日に、車で送迎してもらうという行為を心底嫌う、変な人だ。

雨の日はカッパを着て、傘をさし、暑い日は、着替えを用意して通勤していた。

 

 

そして、25年ぶりに大規模の台風が来る、という日も彼女は自転車だった。

 

うちの会社では午前中だけ出勤し、台風が上陸する前に退社することになっていた。でもそんな時に限って、どうしても放っておけない問題が起きて、対応に追われ、退社時間が遅くなってしまった。外は、雨が降りだし、風が少し吹き始めている。

それでも、彼女は自転車で帰るといい、聞かなかった。大丈夫、カッパがあるから、と。彼女の中では、カッパへの信頼がとてつもなく高いらしく、車で送っていく、という申し出も聞きゃーしない。

最終、私がトイレに行っている隙をついて、自転車で逃げやがった。いや、自転車で帰ってしまった。(無事に家に帰った連絡は入れてもらったけどね、とーぜん。)

 

次の日

 

私は役員に呼び出され、悪天候の中、自転車で彼女を帰したことに対して、お叱りを受けた。まあ、ご指摘は入ると思ってたけども。

私も立場的にまずいことをした意識はあったので、彼女を呼び出して話をした。

あのね、台風の時のカッパの守備力なんて3程度なんですよ。帰宅途中に怪我をさせてはいけないし、今度から、車で送らせてくださいね、と。10歳近く年上の人にえらそーに説教した。素直に聞いてくれたが、車は運転出来ないので、今後も自転車通勤は続ける、とのこと。でも天候が悪い日は、必ず誰かに送ってもらう、という約束はしたが、なんせ、今回私から逃げた前科があるので、気が抜けない。

 

うちの会社のSEは、超優秀だが、たまに子供じみた逃亡を図る。そのせいで、私が役員にご指摘を受ける羽目になったけど、何故か許せてしまう、とってもキュートな人。

さあ、次の雨の日が勝負だ。今度は絶対逃がさないようにしよう。

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